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Thursday, September 30, 2021

「リトル・インディア」の東京・江戸川、インド野菜を地産地消へ きっかけは「新鮮なメティが食べたい…」 - 東京新聞

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 「コマツナ発祥の地」とされ、今も都市農業が盛んな東京都江戸川区で、インド伝統の青野菜「メティ」の栽培がじわりと広がり、主に地元のインド料理店の食材となっている。「リトル・インディア」と呼ばれる江戸川区西葛西を抱え、全国最多のインド住民が暮らす多文化共生のまちで始まった地産地消の取り組みだ。(太田理英子)

「メティ」を収穫する大貫信治さん(右端)、小林洋さん(左端)と学生ら=東京都江戸川区のおおぬき農園で

「メティ」を収穫する大貫信治さん(右端)、小林洋さん(左端)と学生ら=東京都江戸川区のおおぬき農園で

◆インド、ネパール料理に欠かせない

 南アジアや欧州で古くから栽培されるメティ。マメ科の植物で、インドやネパールの家庭料理には欠かせない存在だという。炒め物にすることが多くシャキシャキとした食感とほろ苦さが特徴。種や葉を乾燥させたスパイスはカレーにも使われる。

 江戸川区で栽培が始まったきっかけは5年ほど前。区の市民大学に参加していた小林洋さん(72)らが、インド人講師が「日本で新鮮なメティが食べたい」ともらしていたと知った。日本国内でメティは主に輸入したスパイスしか手に入らないことから、「役に立てないか」と思った小林さんらは、市民大学の仲間と区内でメティを栽培してくれる農家を探した。

◆作り手探し難航も…即完売

 江戸川区は、全国有数のコマツナ生産地。農家は多いが、なじみのない外国の野菜の栽培の引き受け手を探すのは難航した。2018年春、やっと1軒の農家が協力してくれることになった。種をまいてから約1カ月後、収穫した数束を区内の輸入食材店に持っていくと、インド人客が集まり半日で売り切れた。小林さんらは、需要を確信した。19年5月、「えどがわメティ普及会」を立ち上げて活動を本格化した。

 現在は千葉県市川市に近い江戸川区篠崎周辺の2軒と、かつて金魚養殖が盛んだった一之江地区の1軒の農家に栽培を委託している。委託農家の1人、大貫信治さん(46)は「最近はコマツナの市場価格が下がっているため、多品目栽培を考えていたところだった。地元のインドの方のお役にも立てれば」と話した。

メティが手に入ると炒め物にして客に提供しているマラカール・ウルミラさん=東京都江戸川区南小岩の「サンサール」で

メティが手に入ると炒め物にして客に提供しているマラカール・ウルミラさん=東京都江戸川区南小岩の「サンサール」で

 夏以外の時期にビニールハウスで育てている。1束(100グラム)あたり数百円で、料理店や食材店に納める。月平均で、3農家あわせて300束を収穫している。

 江戸川区南小岩のネパール・インド料理店「サンサール」を営むネパール出身のマラカール・ウルミラさん(56)は「出来栄えがネパールより良い。初めて手にした時は感動した」。店では、メティをホウレンソウかジャガイモとトマトと炒め、塩やチリパウダーで味付けする。「これを食べると故郷に帰った気持ちになる」

◆新たな江戸川の文化へ

 区内のインド人は約5100人で、全国区市町村で最多。普及会は、メティを区の特産品にしながら「国籍や世代を超えた地域交流」につなげたいという。社会福祉協議会の関係者や千葉大(千葉市)の大学院生と連携して料理教室を計画する他、愛国学園短期大(江戸川区)の学生の協力でメティを使った日本人向け料理のレシピ作りも進めている。小林さんは「インドに限らず、多国籍の住民が触れあえる場を用意し、新たな江戸川の文化をつくりたい」と話す。

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