食事の場所変化、外食向け大幅減
――「トマトの会社から野菜の会社」への転換を目指しています。狙いを教えてください。 「2025年の『ありたい姿』として『食を通じて社会課題の解決に取り組み、持続的に成長していくこと』を決めました。解決に向けて取り組む社会課題は(1)健康寿命の延伸と(2)農業振興・地方創生、(3)世界の食料問題の3つです。これからますます深刻化していくこの3つの課題をカゴメが得意とする野菜の力を使って解決していく。そのために『野菜の会社』になろうと決めました」 ――新型コロナウイルスはカゴメの事業にどんな影響がありますか。 「大きな影響は2つあります。新型コロナによって食事の場所は大きく変わりました。家庭内で食事する機会が増えた一方で外食の機会は減っています。カゴメではトマトケチャップは昨年4月に大きく増えるなど内食用商品の販売は好調でした。ただレストランなど外食向けに販売する業務用は国内で大きく落ち込みました。また400億円ほどの規模がある海外事業の売り上げはピザチェーン向けのピザソースなどほとんどが業務用です。これがロックダウンなどの影響で大分減りました。このため前期は最終的には1%の増収でした」 「ただ新型コロナに対して自己防衛のために『食事を通して免疫力をつけたい』というお客様の意識が高まっています。野菜をとることで免疫力をつける意識が高まったことで野菜飲料にとっては追い風で、売上高を伸ばしています。野菜ジュースで最も変わったのは売れ筋です。これまで売れ筋だった200ミリリットルから1リットルの大型商品にシフトしています。野菜ジュースは通勤する途中で買われることがよくありますが、(在宅勤務の拡大で)通勤機会が減り200ミリリットルのサイズの販売が首都圏のコンビニなどで減っています」 ――社会課題の解決に向けて、食とテクノロジーをつないだ「フードテック」を活用する動きも広がっています。 「少し前まで所属していた研究部門の時に考えたのが、自前の研究に加えてオープンイノベーションの活用です。自社の研究と外部の知見を組み合わせて新しいモノを生み出すことを全社的に進めようとしています。その1つがドイツの光学機器メーカーと共同で開発した野菜摂取量の充足度を測る『ベジチェック』です。野菜や果物に含まれる色素をドイツの光学機器メーカーの技術で測り、それを野菜摂取量に換算するアルゴリズムはカゴメがつくっています。人が手のひらを装置に当てると測定することができます。『ベジチェック』は健康経営をしている企業や自治体に貸し出しています」 「プラントベース(大豆)製品もオープンイノベーションの1つです。4月に健康関連スタートアップのTWO(東京・渋谷)と業務提携し、現在商品について両社で検討しています。このほかにも『野菜をとろうキャンペーン』に賛同してもらった19の企業・団体と『野菜摂取推進プロジェクト』を立ち上げました。賛同企業と連携した料理教室など取り組みを進めています。異業種と一緒に活動することで様々な形で野菜の情報発信ができます」 ――農業の新会社としてカゴメアグリフレッシュ(KAF)を立ち上げました。 「1998年から生鮮トマトを生産し、全国のスーパーで販売しています。売上高規模では100億円ぐらい。トマトは温室で通年栽培しています。ここ数年は競争激化で赤字が続いていましたが、昨年やっと黒字化しました。野菜の会社を目指すカゴメにとって生鮮野菜は重要なので、この分野をもっと大きくしていきます。安定して収益を高めていくために国内の農事業を切り出して新会社のKAFに引き継ぎました。意思決定を迅速にしたり、他社とのアライアンスを組んだりするなどスピード感をもって次のステージに引き上げる狙いです」 「いままでは温室で栽培する生鮮トマトが中心でしたが商品数も広げています。数年前からベビーリーフを栽培しているほか、タマネギの栽培も始める予定です。北海道の農業法人との合弁会社を通じて今秋からタマネギの栽培・販売を始めます」
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