緊急事態宣言に伴う飲食店の時短営業の影響で、埼玉県内の生産者たちが苦境に立たされている。レストラン向けに西洋野菜を栽培しているさいたま市内の農家では、外食利用者の落ち込みとともに注文が半減し、資金確保や食材廃棄などの課題を抱えている。生産者たちは、取引業者と協力しながら宅配サービス、テークアウト販売などを強化。「市場に出にくい」とされる西洋野菜の弱点を克服しつつ、家庭への販路拡大を目指している。 季節のミネストローネベースが特別賞 規格外のヨーロッパ野菜使用、さいたまの研究会の取り組みが受賞
さいたま市岩槻区、関根一雄さん(40)の農園では、ホウレン草や枝豆のほか、ハーブ野菜を改良したスティッキオ、ホウレン草に似たスイスチャードといった西洋野菜の栽培も行っている。関根さんは「一般野菜は市場を通してスーパーなどに並ぶため、コロナの影響は受けなかったが、西洋野菜はレストラン向けに栽培しているため、売り上げが半減している」と話す。 関根さんは、さいたま市内13農家で構成する「さいたまヨーロッパ野菜研究会」の一員。同会は、県内を中心に1200軒以上のレストランに西洋野菜を卸しているが、昨年3月以降、飲食店の時短や休業が相次ぎ、食材注文が激減。昨年3~4月期の売り上げは前年比51%減少した。 関根さんによると、西洋野菜は食べ方や調理方法が分からない消費者が多いため、市場には出にくく、外食業の経営環境悪化がそのまま影響されてしまう食材という。 昨年5月以降は、飲食店の営業再開とともに売り上げ回復に向かったが、今年1月の緊急事態再宣言を受けて再び注文が減少した。
今回の時短要請で、政府は飲食店の取引業者にも支援金を支給する方針を固めているが、21日時点で関根さんへの支給はない。「頂けるのであれば助かるが、支援金に頼るばかりではなく、今後は販路拡大に力を入れて売り上げを伸ばしていく」と関根さんは語る。 同会では、長引くコロナ禍により、家庭で調理する機会が増えていることに着目。「西洋野菜はイタリアンやフレンチ料理の引き立て役に欠かせない。カラフルな食材が多くさまざまな料理の色付けに最適」と魅力を発信し、インターネットショップや食材宅配サービスでの販売を通じて強化して売り上げをカバーしている。また、取引業者の協力を得ながら、百貨店や小売店への販路拡大や、西洋野菜を使った加工品開発などを進めている。 食材の過剰在庫・大量廃棄の課題も、県内のレストランや畜産関係者らと連携しながら向き合っている。イタリア料理店を運営するノースコーポレーション(同市浦和区)では、コロナの影響で出荷量が低迷した県産物を使用した「生産者応援弁当」を販売。一つ購入ごとに、関根さんらが栽培した袋詰めの西洋野菜2種類が付いてくる。
2013年から西洋野菜作りに携わる関根さんは、高温多湿な気候に弱く、日本ではうまく育たなかったのを試行錯誤して品種改良するなど、農業に向き合う大切さを改めて学んだという。「西洋野菜がコロナ禍でも楽しめる家庭料理の一つに加わるよう、これからも多くの企業と力を合わせて全国に魅力を広めていきたい」と話している。
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