
一見すると何の変哲もないスープカレー。だが、箸が添えられている。トッピングされた色とりどりの野菜をかき分けると、スープの中から「それ」は現れた。
「昔からお客さんを招く際は、必ずきりたんぽを振る舞ってきた。きりたんぽは、私たちの心からの『おもてなし』なんです」。秋田県鹿角市出身のオーナー、柳舘誠さん(64)が熱弁を振るう。郷土の味への「愛」が伝わってきた。
でもなぜ、スープカレーにきりたんぽ? 最初は半信半疑でも、その相性の良さに驚くこと間違いない。ココナツミルクや自家製山ブドウジャムを入れて煮込んだスープは甘辛くまろやかで、きりたんぽのもちもちとした食感と抜群に合う。カボチャ、ピーマン、ゴボウなどの野菜が脇を固める。
柳舘さんは18歳で鹿角市を管轄する国鉄盛岡鉄道管理局に就職。その後も岩手県内を転々とし、JRの保線業務に携わった。
「自分は山育ち。第二の人生は自然の中でのんびりしたい」と2012年に早期退職。同郷の妻・良子さん(63)と雫石で山ブドウの栽培を始めた。無農薬栽培にこだわり、虫や霜の被害と格闘しながら、4年かけて実らせた時は「本当にうれしかった」と話す。
5年前、自慢の山ブドウをお客さんに振る舞いたいと、畑の隣にカフェをオープン。当初はスープカレー、きりたんぽ、山ブドウを使ったスイーツを別々に提供していた。しかし、思うように客が集まらず、思い切って融合させたところ、たちまち評判になった。
山ブドウは毎年9月に収穫し、アクセントとして様々な料理に使用。きりたんぽの原料のあきたこまちは、故郷から仕入れ、つきたてを提供する。「今でも心の古里は秋田。思い出の味を『おいしい』と言ってもらえるのは幸せ」。窓の外に広がる県境の山々を見つめ、柳舘さんは目を細めた。
開店と同時に、次々と客が来店する。8~9割が若者だ。その秘密は、柳舘さんの娘・真理さん(34)が考案するメニューにある。1日限定5食の「農園栗のモンブランパフェ」など、インスタ映えするスイーツが受け、小岩井農場を観光した人たちなどが訪れる。
記者は今年9月、登山帰りに立ち寄り、スープカレーに癒やされた。今回、取材で再訪すると、柳舘さんは「ああ、あの時の」と覚えていてくれた。そんな客を大事にする店主の人柄も、店の人気を支えている。
「秋野菜のきりたんぽ山ぶどうスープカレー」は税込み1265円で、野菜は季節によって変わる。「農園栗のモンブランパフェ」は同1280円。自家製の「山ぶどうジュース」は同440円で、アイスとホットから選べる。
住所は雫石町長山堀切野8の52。駐車場あり。営業は午前11時から、午後5時ラストオーダー。木・金曜定休。問い合わせは090・2020・5747へ。
秋野菜のきりたんぽ山ぶどうスープカレー/ 山ぶどう農園カフェ野の香(雫石町)/
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