全国的な8月の長雨の後にいったん残暑が戻ったものの、東日本では9月に入ると雨がちの天気が続いています。東京都心では5日に初めて0.1時間の日照を観測し、気温も10月中旬並みの低さという不順な天候が繰り返されています。 天候が価格を大きく左右する食材といえば野菜で、この時季も高値傾向が続いています。新型コロナウイルスの影響による“家庭内食”も増えるなか、どの野菜がどれだけ値上がりし、家庭の食卓にどんな影響を与えているのでしょうか。
レタスの一大産地に平年の2倍の降水量
東京都中央卸売市場の市況(8月27日~9月2日)の前年同期比では、レタスが259%、ミニトマトが176%、こまつなが163%、需要の多いとうもろこし・きゅうりも138%に上昇しています(野菜名の表記は発表による)。
市況は青果店が仕入れる価格の目安ですが、店頭の現状はどうなっているのでしょうか。スーパーマーケット「アキダイ」(本社・東京都練馬区)の秋葉弘道社長に伺いました。 「野菜の価格には天候の状況がリアルに反映されます。今年は梅雨明け直後の高温で野菜がよく育ち、全般に品質のよいものが多く“よかった”と感じていました。ただ、気温の高さが生育をうながしすぎて例年より前倒しで出荷されたり、北海道・東北地方では干ばつもあって、特にとうもろこしがダメージを受けたりもしていました。 比較的良好だった野菜の状況が一変したのはお盆前後です。西日本の豪雨が盛んに報道されましたが、おかげで収穫はまったくダメ。関東も長雨の影響で、全般に記録的な高値となったのです」(秋葉社長) 野菜の値上がりを招く大きな要因は長雨と日照不足で、レタスやキャベツなどの葉物野菜は根腐れを起こすなどして、収量の激減につながります。たとえばレタスの一大産地である長野県・野辺山(南牧村)の場合、平年(1991~2020年)の8月の降水量は166.8mm、日照時間は160.1時間となっています。 ところが今年8月のデータをみると、降水量が339.5mm、日照時間が141.6時間でした。降水量は平年の2倍にのぼり、日照時間は平年の88%にとどまりました。8月中旬以降の長雨と日照不足は野辺山に限らず全国的な傾向で、これが夏野菜の生育遅れと収量減を招いたのです。
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