米国では、屋内栽培の葉物野菜に特化した初の食品安全認証が進んでいる。環境制御型農業(CEA)事業者でつくる食品安全連合が主体になって普及に取り組む。同国で葉物野菜が原因の食中毒が多発したためで、商品に対する消費者の不信感が強いためだ。 同連合は、屋内栽培葉物の安全基準の認証策定を目的に、2019年に設立。水耕栽培や発光ダイオード(LED)を用いた垂直農法などCEA事業者の約30団体が加盟する。
食中毒で苦境も
背景には17~19年の間に多発した葉物野菜による食中毒がある。ロメインレタスやサニーレタスなどの葉物野菜が腸管出血性大腸菌O157に汚染された。米疾病予防管理センター(CDC)によると同期間の食中毒事故件数は474件にも上る。 特に19年9月~20年1月の間に起きたロメインレタスが要因の食中毒は167件と多く、その後、事業者らは葉物野菜の売り上げが4割減る苦境に直面した。 新しい認証には(1)生育培地や種子、投入物(2)使用する再循環水(3)栽培する植物に接触・隣接する全ての設備と機材(照明、ロボット、センサー、調理器具など)(4)農薬――などに安全基準を設けている。また、ロボットやセンサー機器を使用する屋内栽培では、葉物野菜に触れた全ての機械や農具、人を明らかにするため、トレーサビリティー(生産・流通履歴を追跡する仕組み)を強化している。合格した事業者は、商品にCEA食品安全シールを貼ることができる。
気候対応に期待
一方、CEAの葉物野菜は気候変動対策として注目を集め、市場規模は拡大している。国際市場調査会社グランドビューリサーチ(米国サンフランシスコ市)のデータによると、CEAのうち、垂直農法の葉物市場の規模だけでも、19年には世界規模で約10億2000万ドル(約1114億円)と評価された。27年までは毎年26%ずつ成長すると見込む。 同連合は「流通を混乱させた新型コロナウイルス感染拡大後、地元で葉物野菜を安定供給できるCEA栽培の利点から、需要が急拡大している。CEA栽培の葉物野菜とハーブは、国内の総生産量のうちまだ2%にも満たないが、25年まで全量の1割以上に増える」と予測し、同認証の周知拡大を急いでいる。
日本農業新聞
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