現在、人間はもちろんのこと、猿もモルモットも体内でビタミンC(抗酸化物質の一種)の合成はできない。はるか昔はできたが、数千万年前から合成しなくなったようだ。植物や果実を食べるようになって、その必要がなくなったのだろう。やがて火を使うようになると、消化しやすくなり、より多くのエネルギーが得られるようになった。これが、大量のブドウ糖を必要とする脳を発達させたといわれる。 「週刊新潮」6月3日号にも少し書いたが、私たちは活性酸素の海にいるようなもので、呼吸するだけで、取り入れた酸素の2~3%は活性酸素になる。故前田浩・熊本大学名誉教授(今年5月死去)によれば、主ながんの原因は(1)化学物質、(2)放射線、(3)慢性感染(による炎症)の三つだが、いずれも活性酸素が発生して、DNAを傷つけることで発がんが始まるそうだ。この三つの中で、現代に生きる私たちの体が常に晒されているのが化学物質だろう。現在、約10万種類の化学物質が日常生活で使われているといわれ、EUでは、人の健康被害にもっとも影響を与える化学物質は農薬だとしている。 さらに活性酸素は、ストレスを受けても大量に発生するから、私たちは活性酸素から逃れられなくなっている。つまり、活性酸素を消去する抗酸化物質を外から補充することでしか、健康を維持できなくなっているのだろう。その役目を担うのが野菜や果物なのだ。 前田教授は抗がん剤の研究者でもあるが、その一方で力を入れていたのは、活性酸素を抑えることでがんを未然に防ぐことはできないかというテーマだった。そしていくつかの研究を経て、「がん予防とは、がんの炎症を取ることであり、それには活性酸素を消去してくれる野菜スープがベスト」という考えに至った。 掲載のグラフのタテ軸は発がんの進行を抑える度合いで、ヨコ軸は活性酸素を50%抑制する強さだから、グラフ右上の野菜ほど細胞のがん化を抑えてくれる。 がん化は、正常細胞がいきなりがん細胞になるのではない。いくつかの段階を経てがん細胞になっていくのだが、前田教授によれば、抗酸化物質はこの過程で細胞のがん化を抑制してくれるのだという。 グラフの上部には豆類が多いが、タネでもある豆は、中に子孫たちの遺伝情報にあたるDNAを詰めた“ノアの方舟”のようなものだから、活性酸素や脂質ラジカル(脂質が酸化してできる)で壊されないように抗酸化物質で守られている。いわば抗酸化物質の塊だから右上に来るのは当然として、意外にも、カリフラワー、大根、キャベツ、京菜、ブロッコリーといったアブラナ科の野菜が上部に多いのには驚く。 野菜の抗酸化物質が発がんの予防効果があるのは、肺がん、胃がん、大腸がんなどにおいてだが、では、がんになってしまったら、野菜スープを飲んでも無駄なのだろうか。 がん患者を中心に「野菜スープ」を勧めている人がいる。兵庫県の池田佳之さん(68)である。池田さんは大腸がんで闘病していたが、3年3カ月前に肝臓への転移が分かった。それも転移したのが7個。外科手術で取ることができず、5年後の生存率が15%、3年生きるのは難しいと宣告されたという。ある時、前田教授の野菜スープを試したところ、体調が良かったので周囲にも勧めてみた。すると、肝臓の数値が良くなったという人たちから、抗がん剤の副作用がびっくりするほど軽減したといった証言が相次いだそうだ。 池田さん自身も、「野菜スープを始めて4カ月後、エコー検査をすると7個の転移がんのうち3個は壊死がすすんでいた」そうで、「これはえらいことだ。抗がん剤の副作用に苦しんでる人に野菜スープのことを知ってほしいと思って『野菜スープ専用LINE』を立ち上げたんです」と言う。
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