
日差しが強いこの時期は、夜間にさおを出す釣り人が多い。広くは知られていないが、河口部では、川と海を行き来する夜行性のニホンウナギやマアナゴなどが狙い目だ。今回は夜釣り。海水と淡水が混じり合う高松市内の岸壁に向かった。(田岡寛久)
釣り場は、複数の川が海に流れ込むポイント。車が横付けでき、楽ちんだ。広く探ろうと、投げ釣りの仕掛けを3本、遠近に投げ分ける。餌はウナギ狙いで太めのミミズ。さおの先に専用の鈴や蛍光色に発光する「ケミカルライト」が使われた小さな棒(ケミ)を取り付けると、当たりが分かりやすい。
満潮の午後9時過ぎまでが時合い(よく釣れる時間帯)だ。時折、「チリチリ」と鈴が鳴ってさおが小刻みに震え、ケミもブルブルと動くものの、食い込まない。「ボウズ(釣果ゼロ)は嫌だな」と、独り言を言っていたその時、最も沖合に投げていたさおのケミが大きく動いた。
焦りは禁物。2度、3度と押さえ込まれたところでグッとさおを立てる。よし、確かな重量感。リールを巻いて取り込む。釣れたのは、約30センチのキビレ(キチヌ)だった。
キビレは、釣りのターゲットとして人気が高いチヌ(クロダイ)の近縁種。名前の通り、腹びれや尾びれの一部が黄色い。最初は全て雄で、15センチぐらいになると両性期、その後、雌に転じる。春から夏が旬だ。
以前にも釣ったことがあり、塩焼きで食べると、クセのない白身がおいしかった。でも、塩焼きだと、これまでの四国キッチン番外編と同じか。今回はムニエル風に調理しよう。
〈1〉ウロコを取り、はらわたを取り除いた後、三枚におろす。
〈2〉キッチンペーパーで2枚の身の水気を取り、ハーブやスパイスが配合された塩をふって下味をつける。小麦粉をまぶしてなじませ、冷蔵庫で寝かす。
〈3〉翌日、あり合わせの野菜でソース作り。シイタケとパプリカを細かく刻み、フライパンにバターを入れ、みじん切りのニンニクと一緒にいため、酒、みりん、しょうゆ、ポン酢で味を調える。
〈4〉寝かしていたキビレの身を、フライパンにバターを溶かした上で両面ともこんがりと焼き上げる。皿に盛り付け、ソースをたっぷりかけた後、刻んだネギと大葉をちらして完成。
パリッとした皮と、ホクホクの身にソースが絡んで美味。夫婦で「白ワインと相性が良さそう」と盛り上がったが、結局、お決まりの芋焼酎をあおった。塩焼きでよかったか。
市場にはあまり出回らない魚を味わえるのも、釣り人の特権の一つ。あっ、ウナギを狙っていたのだった。次こそは。
からの記事と詳細 ( 野菜ソースも好相性 - 読売新聞 )
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