夏が旬の緑鮮やかな葉物野菜「モロヘイヤ」。粘りのある食感が特徴で、高い栄養価から「王様の野菜」と呼ばれる。
料理研究家の山中美妃子さん=高松市=のおすすめの調理法は、細かく刻み、ちりめんじゃこ、とろろ昆布、かつお節などを合わせ、冷えた豆腐の上にたっぷりのせた「とろろ冷ややっこ」。口の中につるりと入り、さっぱりしているが、食べ応えがある。連日の猛暑の影響で夏バテ気味でも、どんどん箸が進む。
他にも色々なレシピを教えてくれた。お浸し、炒め物、スープ、天ぷらなど調理の幅は広いといい、山中さんは「ねばねばが胃腸の働きを助けてくれる。夏にぴったりの野菜です」。
モロヘイヤの原産は、中東やアフリカ地域などとされる。食物繊維やカルシウム、ビタミンK、β(ベータ)カロテンなどを含み、栄養豊富。古代エジプトの王様の病気が、モロヘイヤを食べて治ったという逸話から、アラビア語で「王様の野菜」と呼ばれている。日本では1980年代から栽培されている。
香川県は四国一の収穫量を誇る。県農業試験場によると、2018年度の収穫量は約26トン、作付面積は約2ヘクタール。県内では主に東かがわ市、丸亀市、観音寺市で栽培され、年々拡大している。
独自品種の開発にも力を注ぐ。県は2018年に独自品種「さぬきのヘイヤ」を開発した。一般的な品種と比べ、赤い色素「アントシアニン」が少なく、緑色が濃い。茎まで柔らかく、程よい粘り気で味のくせや苦みも少ないという。
8月上旬、東かがわ市のビニールハウスには約400本のさぬきのヘイヤが青々と生い茂っていた。収穫の最盛期を迎え、高さ2メートルを超えるものもある。
アスパラガスなどを栽培する「ふじもとファーム」では、今年から栽培に挑戦している。約2アールの畑で5月から収穫を開始。最盛期に入ってからは、2日おきに早朝から作業し、多い日は約10キロを出荷している。
暑さに強いモロヘイヤは、葉野菜の栽培に不向きな夏場も育てやすいという。藤本和希さん(30)は「最初は苗が小さくて弱々しかったが、勢いよく育った。収穫に追われています」と喜ぶ。
県下ではレタス、ブロッコリーなど秋冬野菜が主力。さぬきのヘイヤを夏場の野菜として普及させようと力を注ぐ。「讃岐で生まれ、讃岐平野いっぱいに育った野菜として広く認知されてほしい」との思いが、その名に込められている。
県が2018年に国に出願した品種登録が認められれば、国内初のモロヘイヤの登録品種となる。現在は、さぬきのヘイヤの名で店頭に並ぶことは少ないが、香川自慢の野菜「さぬき讃ベジタブル」として、店頭やSNSでのPR活動を強化していくという。
県農業試験場の主任研究員、清田隆治さん(42)は「作る人にも、食べる人にも、とっても良い夏の野菜。さぬきのヘイヤが食卓に広がってほしい」と話している。(湯川うらら)
さぬきのヘイヤのとろろ冷ややっこ~料理研究家の山中美妃子さんのレシピ~
【材料(2人分)】
さぬきのヘイヤ50グラム ミニトマト3個 かつお節、とろろ昆布各1グラム 豆腐150グラム ちりめんじゃこ20グラム ショウガ(すりおろし)少々 砂糖小さじ1 しょうゆ小さじ2 水適量
【作り方】
(1)さぬきのヘイヤを半分に切って洗い、沸騰したお湯で1分半ゆでて水に取り、細かく刻む(2)ミニトマトは4等分に切る(3)さぬきのヘイヤ、かつお節、とろろ昆布、砂糖、しょうゆを加えて混ぜ、水で調整(4)水気を切った豆腐に(3)とちりめんじゃこ、ショウガ、ミニトマトをのせる。
【ポイント】
ホウレンソウ同様のアク(シュウ酸)が含まれるため、さっとゆがいたあと、水洗いして使う。
からの記事と詳細 ( 夏の食卓に王様の野菜 香川独自品種「さぬきのヘイヤ」 - 朝日新聞デジタル )
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