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東海地方の飲食業界が、自社の食品などを取り扱う自動販売機を設置する動きが広がっている。コロナ禍による外出自粛や時短営業で落ち込んだ需要を取り込む狙いがある。自販機向けに新たな商品を投入し、市場開拓を模索する企業もある。(中島幸平)
16日午前、名古屋市港区のラーメン店「一刻魁堂港店」が、冷凍したギョーザ(30個入りなど)やラーメンの自販機を駐車場に設置した。主に価格は税込みで750円だ。
同店は「まん延防止等重点措置」が解除された12日から、閉店時間を午後9時に延ばした。それでも従来よりも3時間ほど早い。深夜客も多く、顧客との接点を維持するには、24時間稼働する自販機が効果的と判断した。
一刻魁堂がギョーザ自販機を設置するのは今月9日の豊明店(愛知県豊明市)に次いで2か所目。19日には愛知県清須市の店舗にも置く。店舗の運営会社JBイレブン(名古屋市)は、この3台の1~2か月間の売れ行きをみて、導入をさらに広げるか判断するという。黒田博司執行役員は「コロナ下の(総菜を買って家で食べる)中食需要にも期待している」と話す。
飲食チェーンのチタカ・インターナショナル・フーズ(愛知県北名古屋市)も4月下旬、ギョーザやサンラータン(いずれも冷凍)などを扱う自販機1台を名古屋市内に設けた。展開するギョーザ専門店の味が楽しめると反響を呼び、「想定の2倍近い売り上げ」(担当者)という。
コーヒー豆の卸販売を行うイトウ珈琲商会(名古屋市東区)は2月、店舗前に豆の自販機を設置した。店舗でも直販を行っているが、自販機で非接触での販売強化を図る。
飲料水の自販機1台を中古で購入し、ペットボトルに詰めたコロンビア産などのコーヒー豆を360~700円(50~150グラム)で販売する。伊藤愛子取締役は「コーヒー豆が入ったペットボトルが珍しいのか、贈答用の購入も増えた」と話す。“SNS映え”を狙った購入も増えており、1日平均4~5本が売れている。自販機の追加も検討している。
コカ・コーラボトラーズジャパンは昨年、名古屋市の駐車場などで飲料水の自販機で冷却したマスク(税込みで1枚800円)の販売を始めた。
コロナ禍による外出自粛は自販機での飲料水販売にも打撃を与えている。だぶついた飲料自販機の活用策が課題となっている。
自販機の販売・開発を手がける「くれあーる」(愛知県一宮市)では、コロナ禍前は食品用自販機の注文はほとんどなかったが、今年はすでに20台以上を出荷した。
ギョーザなど冷凍食品用は製造会社の供給が追いつかず、入荷まで3か月待ちという。和菓子、クレープのほか、海産物や焼き芋などユニークな自販機の開発依頼もある。木村康敬代表取締役は「クレープ店に入るのをためらう高齢者が自販機で買うなど、思わぬ市場開拓につながっている」と話す。
食品自販機の価格は70万~100万円台と高額なことから、初期投資が抑えられるレンタル事業も始めた。
日本自動販売システム機械工業会によると、国内の自販機の普及台数は2020年12月末で404万台と10年前より約116万台減ったが、食品自販機はここ数年、7万台前後と横ばいで推移している。
同会の担当者は「持ち帰り需要などで、食品用は今後伸びる可能性がある」と予想する。
からの記事と詳細 ( [断面]ギョーザやラーメン・コーヒー豆…コロナ禍の飲食自販機反響「想定の2倍近い売り上げ」 - 読売新聞 )
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