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Saturday, July 10, 2021

<ヒューマンいばらき>欧州野菜おしゃれに 古河のファーム塚田 代表・塚田仁(つかだ・ひとし)さん(61) - 東京新聞

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ヨーロッパ野菜を手に、その魅力を語る塚田仁さん=古河市大和田で

ヨーロッパ野菜を手に、その魅力を語る塚田仁さん=古河市大和田で

 古河市大和田の国道4号バイパス沿い。住宅が点在する平たんな大地には、露地やハウスの畑が広がっていた。「これがカリーノケール、こちらがコリンキー」。聞き慣れないヨーロッパ野菜の名前が次々と口から飛び出す。カリーノケールは、青汁の原料に使われるケールをサラダ用に改良したもの。コリンキーは生でも食べられるカボチャだ。栽培する品種は約百三十種に上る。

 収穫した野菜はプラスチックのフィルムに包まれ、地元の道の駅や都内のファーマーズマーケット、ネットサイトで販売される。フィルムには、調理法を記したシールと、「Gusto Italia(イタリアの味)」と黒文字で書かれた黄色のテープを貼る。おしゃれな演出は、ありふれた食卓に華やかな雰囲気を生み出すに違いない。

 埼玉県上尾市で長年暮らしていたが、五十歳で妻恵子さん(58)の家の養子となり、妻の両親が住む古河市に移った。

 趣味の家庭菜園から農業に転じたのは五十七歳の時。大手IT企業の日本IBMで三十年以上もシステム構築などに携わってきたが、プロジェクトマネジャーとして大きな事業をやり終えた。「これからは自分が楽しむために生きていく」と心に誓った。

 農地や農機具は、農業を営む妻の家から調達した。「今、思うとラッキーだった」と振り返る。

 では、なぜヨーロッパ野菜なのか。キュウリやダイコンであれば、他の農家が質の良いものを安く提供している。周囲からも「一般の野菜ではかなわない」とアドバイスされ、差別化を狙ってヨーロッパ野菜に行き着いた。アイデアで勝負する姿勢は、元IT会社勤務という一風変わった経歴ゆえかもしれない。

 しかし、ヨーロッパ野菜の栽培は苦労の連続だった。日本での取り扱い量が少なく、どの野菜が古河の風土に適しているのかを種苗会社に問い合わせた。植え付けや収穫の時期、植物の病気などはインターネットで検索した。「実際に育ててみると失敗も多く、何回も作り直した」

 「味が濃くて料理にメリハリがつく」「食べ方を考えるのが楽しい」。消費者の反応は上々だ。二〇一八年には「野菜ソムリエプロ」の資格を取得。栃木県のフレンチレストランからも注文が入る。

 順風満帆に見えるが、「野菜づくりだけで食べていくのは大変だ」とも感じている。いま頭の中にあるのは、野菜の加工品づくりや飲食店の経営。還暦を前に始まった挑戦は、ますます熱を帯びそうだ。(出来田敬司)

     ◇

 「ファーム塚田」の野菜は「道の駅まくらがの里こが」(古河市)や「道の駅さかい」(境町)、産直サイト「ポケットマルシェ」などで取り扱っている。

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