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Saturday, February 20, 2021

コーヒー文化を輸出する 世界王者の新ドリッパー|NIKKEI STYLE - 日本経済新聞

kuahbasolah.blogspot.com

手にした銀色の細長いカップに、ケトルから細く、お湯を注ぐ。抽出されたコーヒーが底から滴り始めると、側面からも濃褐色の液体がジワリとしみ出し、筋を描いて伝わり落ちる。

豆は深めに焙煎(ばいせん)したエチオピア。酸味が上品にまとまり、しっかりしたコクと甘さと溶け合う。そして柔らかく滑らかな、ネルドリップで淹(い)れたような舌触り。

「濃くて、まったりした質感の、ネルっぽい味が好きな人は多いと思うんです。その良さを誰でも簡単に味わえるようにするのが、このドリッパーの狙いです」

そう語るのは自家焙煎店PHILOCOFFEA(フィロコフィア、千葉県船橋市)の代表取締役、粕谷哲さん。2016年、抽出技術を競うワールドブリュワーズカップ(WBC)でアジア人初の世界王者となり、最近ではファミリーマートのブレンドコーヒーの開発やダイオーズのオフィスコーヒーの監修でも知られる。

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粕谷さんが手にした「ダブルステンレスドリッパー・粕谷モデル」は出来たての新製品だ。着脱可能なカップ状のドリッパーとスタンドの組み合わせで、抽出する時は手に持ってもサーバーに置いてもいい。カップの側面は微細な2重メッシュ。底面の穴はお湯抜けが良い配置を探って試作を繰り返した。ペーパーフィルターでは漉(こ)し取られてしまうコーヒーオイル(豆の油脂分)もネル同様に抽出されるので、マイルドな口当たりになる。

耐熱ガラス・コーヒー器具メーカーのHARIO(東京・中央)と1年がかりで共同開発した。ケトルも新製品で、通常は注ぎ口と一直線上にあるハンドルを横にずらし、手首に負担なく、湯量を微調整しやすいデザインにした。いずれも本体価格は5000円で、今春に発売される。

この新ドリッパーは「日本独特のコーヒー文化を、より多くの人に再認識させたい」という思いを実体化させたものだ。粕谷さんの表現を借りれば「日本のコーヒー文化の復活」。浅めの焙煎のスペシャルティコーヒーが、とりわけ世間の注目を浴び続けてきた昨今の潮流に一石を投じる。

「日本のコーヒー文化で特徴的なのが、深煎りの豆をネルドリップで、一杯ずつ丁寧に淹れるスタイル。やっぱりコーヒーって手ずから淹れるのが楽しいんですよ。ブルーボトルコーヒーの創業者も、これに感銘を受けた。でもネルフィルターは管理が面倒なので普及しない。それで昨年1月、HARIOさんに、僕は手間がかからない金属でやりたいと申し出たんです」

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