かつて日本の各地で育てられながら、急激に減少している伝統野菜。東京都内の高校2年生小林宙さん(17)は、伝統野菜のタネを全国に流通させることで途絶えるのを防ごうと考え、起業しました。小林さんに、伝統野菜とそのタネに対する思いを聞きました。
小林さんは、高校受験を終えた直後の2018年2月、15歳の時に伝統野菜のタネの販売などを行う「鶴頸種苗流通プロモーション」を設立しました。「鶴頸」とつけたのは、活動拠点の一つの群馬県の畑が、地図でみると鶴の首に当たる部分にあるからだそうです。
伝統野菜というと、京都の賀茂なすや聖護院かぶらなどが有名です。ただ、そうしたブランド野菜はごく一部で、多くの伝統野菜は特定の地域だけで育てられ、少数の農家がタネを採っています。
小林さんの仕事の柱は、各地の種苗店を回って買い集めた伝統野菜のタネをオリジナルの袋に詰め、1袋200円で販売すること。インターネットでの通信販売が主ですが、地元を中心に、本屋やカフェ、病院などでも売っています。
関係ない分野の店にタネを置くのは、「より多くの人に興味を持ってもらいたい」から。これまで約30種類のタネを扱い、販売総数は1000袋を超えるといいます。さらに、小林さんの自室の冷蔵庫には、伝統野菜400~500種類のタネが保管されているそうです。
小林さんは小さいころ、近所のホームセンターで買った野菜の苗を育てることに熱中していました。しかし、数年で全ての品種を育ててしまい、興味の対象はより多くの種類があるタネへと移ります。
市販のタネの多くは「F1品種」と呼ばれ、大きさや形がそろった野菜ができます。それに対して伝統野菜は、味はよいものの、大きさや形はF1ほどそろわず、大規模に作るのには向きません。特定の地域だけで栽培・販売される伝統野菜は、その地域での需要がなくなったり、農家がタネを採るのをやめてしまうと、野菜自体がなくなってしまうのです。
中学生になり、地方にタネの買い付けに行くようになった小林さんは、訪ねた種苗店が閉店していたり、目当てのタネがなくなっていたりする状況に直面し、危機感を覚えました。
「多様な伝統野菜のタネを守るには、誰かがタネを移動させて、作る人を増やす必要がある。全国規模で流通させる仕組みがないなら、僕が作ろう」。そう考えた小林さんは、父や知り合いの助けを借りて様々な手続きをし、開業にこぎつけました。
現時点では、タネを売るだけでは赤字になるので、群馬の畑で作った野菜を売ったり、農業関係の雑誌に原稿を書いたり、講演をしたりして、タネを買う費用を捻出しているそうです。
そして、昨年9月には、小林さん自身の活動や、伝統野菜やタネのことなどについて書いた「タネの未来 僕が15歳でタネの会社を起業したわけ」(家の光協会)を出版しました。
現役高校生であり、来年に大学受験を控える小林さんは、時間の使い方を工夫しています。勉強時間を確保するため、平日は、家でタネの仕事をやらないようにしていて、仕事関係のメールの処理や原稿の執筆などは、学校の休み時間にやっているといいます。
今後、扱うタネの種類や、置いてもらう店を増やしたいと言う小林さん。ですが、将来、この仕事を本業にする気はなく、別の仕事をしながら、副業としてタネを扱っていきたいそうです。
同世代とは思えない小林さんの活動ぶりに、大きな刺激を受けました。小林さんは、「勉強以外に好きなこともやると、楽しい未来が待っています。ただ、大人からの信用がなければ何もできないので、勉強ができるというのは武器になると思います」と話してくれました。
私たちも、勉強をきちんとしつつ、好きなことに打ち込む青春を過ごしたいと思いました。
(高3・木下純一、高1・浦田凜、中2・大森陸記者、撮影=園田寛志郎)
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「伝統野菜のタネ」を扱う会社を作った高校生って? - 読売新聞
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