完全無欠コーヒーとの出会い
完全無欠コーヒーなるものを知ったのは、2018年5月のこと。デイヴ・アスプリーの『HEAD STRONG シリコンバレー式頭がよくなる全技術』を読んだことがきっかけだ。40代も後半に突入し、集中力や学習能力などパフォーマンス全体が低下していると痛感していたぼくは、「脳をハックする」、「ミトコンドリアを強化する」といった、いささかうさんくさい宣伝文句に惹かれて、本書を手に取った。 全財産を投じて幸せになる方法を探索したという著者が勧める「技術」のなかには、「高地トレーニング」や「全身冷却療法」といった経済的ハードルが高いものや、アルコールや揚げ物を断つなど、心理的ハードルが高いものも少なくない。そのなかで、動機も財力も低いぼくでもすぐに実行可能なものが「完全無欠コーヒー」だった。 ちなみに、完全無欠コーヒーに関しては、2015年に出版されたアスプリーの前著『シリコンバレー式 自分を変える最強の食事』で紹介され、日本でも「バターコーヒー」として1度ブームになっていたようだ。実際、知人のなかにはすでに体験済みの人もいて、その人たちはとっくに次か、またその次のダイエットに移行していた。美容や健康に疎いぼくは、3年も遅れて手を出したことになる。しかも、「頭が良くなるかも」という、頭の良くない理由で。 コーヒーはもともと大好きで、自宅でも愛飲していた。そこでコーヒーに追加する食材のみを、米アマゾンで調達した。バターに関しては、水分とタンパク質を取り除いたギーのほうが効果が高いらしいので、そちらを選択。MCTオイルに関しては、デイブ・アスプリーが立ちあげたブレッドプルーフ社──彼は完全無欠コーヒーをきっかけに一大ブランドを構築している──の「ブレインオクタンオイル」、「よく一緒に購入されている商品」に泡立て器が入っていたので、そちらも合わせてポチった。 商品が届くと、さっそく試飲だ。コーヒーを淹れて、ギーとMCTオイルを混ぜてみる。ギーは大さじ一杯、MCTオイルは慣れない人はお腹を下すらしい──MCTオイルを入れすぎると「残念なパンツ」状態になると、アスプリー氏は警告している──ので、小さじ半分にした。そして、泡立て器で攪拌してから、湯気を立てた未知の液体を啜ってみる。 悪くない。っていうか、いける。喩えるなら、濃厚なクリームを入れたカフェオレ。どっしりとして、お腹がふくれる点はスープに近い。色彩的には、カボチャやトウモロコシのスープだ。 ステビアを投入して甘みを加えると、ココアのような、温かくてコクがあるデザートドリンクとなる。アマゾンで購入した4th&Heartのギーには、もともとバニラビーンズが入っていたので、甘い香りが立ち上り、大満足だった。 ちなみに、ダイエット目的なら、間違っても砂糖や蜂蜜は入れないように。なにしろ完全無欠コーヒーの最大の特徴は、糖質がいっさい含まれていないことにある。甘くしたい人は、人体に悪影響を及ぼすといわれる人工甘味料よりも、ステビアやラカント、キシリトールといった自然由来の甘味料がいいだろう。 さて、このダイエットが合うかどうかは、完全無欠コーヒーの味を受け入れられるかどうかにかかっている。良薬は口に苦しと言われるが、ぼくはぜんぜんいやじゃなかった。 二番目の関門は、朝食へのこだわりだ。一汁三菜のようなしっかりとした献立でないと1日を始められないタイプの人は、コーヒーに2種の油を混ぜた液体を代用品として受け入れるのは難しいだろう。 幸か不幸か、ぼくは朝食に関してはこだわりがなく、渡米してからは、ずっとシリアルだった。常に数種類のシリアルを取り揃えていて、その日の気分にあったものをボウルにざっといれて、豆乳を投入。バナナを適当に切って載せたらできあがり。食べ終わったら、ボウルに残った甘い豆乳で、マルチビタミンを喉に流し込む。心の豊かさや風情とは対極の、生命維持のための栄養補給に過ぎなかった。 そんなぼくからすれば、むしろコーヒーを淹れる手間が加わったことで、朝食時間がむしろぜいたくに感じられたほどだ。かくして、完全無欠コーヒーダイエットがスタートした。
からの記事と詳細 ( ぼくが完全無欠コーヒーを3年以上も飲み続けている理由(クーリエ・ジャポン) - Yahoo!ニュース )
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