旬の野菜を全国へお届けしている京都の会社「坂ノ途中」スタッフの、「おいしい暮らし」をつづる連載。第2回は料理好きの私、正木久美子が、1週間の晩ごはんをご紹介します。
text : Kumiko Masaki from 坂ノ途中
野菜をたくさん摂りたいけれど、どう料理したらいいかわからない方へ
坂ノ途中は、農薬や化学肥料に頼らず育てられた野菜を、全国へ定期宅配でお届けしている京都の会社です。野菜をたくさん摂りたいけれど、どう料理したらいいのかわからない。週末にまとめ買いをしたり、宅配サービスで一度にたくさん届いたりすると、結局使い切れない……という方、多いかもしれません。私もそうでした。
私は半年ほど前に坂ノ途中に入社しました。前職時代は毎日とにかく忙しく、ごはん、お味噌汁、納豆、以上! ということがほとんど。野菜とは縁遠い暮らしでした。
それが坂ノ途中に入社したら一転、野菜に囲まれる生活。これも食べてみたい、あれも作ってみたい、と料理を楽しむ毎日です。野菜は会社でたくさん買って、数日分の夕食をまとめて考えています。これとこれを合わせようとか、パズルのように考えるのが好きです。多めに作って翌日アレンジもよくしています。
今回は、一人暮らしの小さなキッチンで私がどんなふうに野菜を料理しているのか、1週間の夕食の献立とアイディアをご紹介します。
フェンネル、かぶ、赤玉ねぎ、玉ねぎ、トマト、スナップエンドウ、にんじん、きゅうり、ミニトマト、オレンジビーツ、大黒本しめじ、マッシュルーム、ピーマン、アスパラガス、セロリ、白ねぎ、スイスチャード、チンゲン菜
こちらを1週間で使いきっていきます! 保存の方法はこちらを参考に:
「もったいない」をなくす!野菜を長持ちさせる方法は?夏野菜の保存の仕方まとめました
月曜日 野菜のポタージュと鱈のソテー、フェンネルとツナのサラダ
献立
1.鱈の塩レモンバターソテー フェンネル添え(フェンネル)
2.野菜のポタージュ(玉ねぎ、かぶ、トマト、にんじん、セロリ)
3.フェンネルとツナのサラダ(玉ねぎ、フェンネル)
4.スナップエンドウの塩茹で(スナップエンドウ)
5.玄米ごはん
一人暮らしのお助けアイテム「炊飯器」で、野菜の下ごしらえ!
私が料理でよく使うのが、炊飯器! 野菜そのものの甘味と旨味を引き出すのが上手なんです。適当な大きさに切って、ジャーに入れてスイッチを押すだけ。
ほったらかしで大丈夫だし、同時にコンロも使えるから効率的。小さなキッチンの強い味方です。
柔らかくなった野菜はいろいろな料理のベースに使えるので、一度にたくさん作って冷蔵か冷凍保存しておきます。今日は牛乳と一緒にミキサーにかけてポタージュに。塩やコンソメで味付けしなくても、野菜の甘味だけで十分。ほっとする味です。
野菜のポタージュのレシピ
1.好きな野菜を切って炊飯器に入れ、水を少量入れて炊飯する
2.炊飯が終わったら、牛乳と一緒にミキサーにかける
3.火にかけ、バターを入れる(お好みで、塩で味を調えてください)
ポタージュを多めに作って冷凍保存するのもおすすめ。別の料理にアレンジもできます。
メインの料理に、珍しい野菜を添えてみる
珍しい野菜をたくさん扱う坂ノ途中、入社して半年たってもまだまだ「はじめまして」の野菜があります。甘い香りのあるハーブ「フェンネル」を初調理。まずは生で。魚と相性がいいと同僚に聞いたので、メインの鱈に添えて。ツナサラダにも使いました。
鱈の塩レモンバターソテー フェンネル添えのレシピ
1.鱈の切り身に塩レモンを塗り、しばらく置く
2.フライパンにバターをひき、鱈を焼く
3.器に盛り、フェンネルを添える
フェンネルとツナのサラダのレシピ
1.切ったフェンネル、ツナ缶をオイルごと合わせる
2.マヨネーズと、隠し味にわさびを加える
フェンネルは、たとえばスモークサーモンやポテトサラダをスーパーなどで買ってきて合わせるだけでも。ぐっと華やかな味になりますよ。
火曜日 クリームスープ、ボロネーゼ
献立
・フェンネルとアスパラのクリームスープ(フェンネル、アスパラガス)
・鹿肉のボロネーゼ(にんじん、トマト、セロリ、玉ねぎ)
翌日、フェンネルをサラダにしたことを会社で話すと、火を通しても美味しいよ、と同僚。それは試してみなくては。スープにしてみよう。明日別の料理にアレンジしたいので、多めに作ります。
フェンネルとアスパラのクリームスープのレシピ
1.フェンネルを適当な大きさに切り、牛乳、オリーブオイル、塩を入れミキサーにかける
2.1と月曜日のサラダ、5cmほどに切ったアスパラガスを一緒に鍋に入れて煮込む
アスパラガスとサラダを加えてボリュームアップしましたが、入れなくても大丈夫です。
生だとスッと鼻に抜ける感じだった甘くて爽やかな香りが、煮込むとことでふんわり優しくなりました。
下ごしらえ済みの野菜で、煮込み時間を短縮
もうひとつの主役が鹿肉。あるとき訪れた和歌山県の那智勝浦町が大好きになって、ジビエをときどきお取り寄せしています。鹿ひき肉に月曜日に炊飯器で炊いておいた野菜を合わせれば、ボロネーゼがあっという間に。もちろんふつうの牛ひき肉や合いびき肉を使っても大丈夫ですよ(笑)。
鹿肉のボロネーゼのレシピ
1.鍋に油を熱しにんにくを炒め、香りがたったら鹿ひき肉を炒める
2.炊飯器で炊いておいた野菜を刻んで鍋に入れる
3.トマト缶を入れて軽く煮込み、塩で味を調える
水曜日 麻婆豆腐、チンゲン菜の中華炒め、グラタン
献立
・麻婆豆腐(トマト、ねぎ、玉ねぎ)
・チンゲン菜の中華炒め(チンゲン菜)
・フェンネルのグラタン(フェンネル、アスパラガス)
・寝かせ玄米ごはん
野菜は新鮮なうちは生で食感やそのままの味を楽しんで、2日目、3日目としっかり調理していくのが、二度、三度美味しくて好きです。昨日のスープをグラタンにアレンジ。オーブンから漂うチーズとフェンネルの香りで幸せな気持ちになります。
フェンネルのグラタンのレシピ
1.火曜日のフェンネルのスープに、茹でたパスタかマカロニを入れる
2.グラタン皿に入れチーズをのせ、オーブンで焦げ目がつくまで焼く
麻婆豆腐のレシピ
1.ねぎ、玉ねぎ、トマトを一口大に切る
2.鍋にごま油を熱し、しょうがを炒める。香りが立ったらひき肉を炒める
3.色が変わったら1を加え炒め、豆腐を加える
4.醤油、豆板醤、甜面醤で味付けし、水溶き片栗粉でとろみをつける
麻婆豆腐の野菜は、いつもその時あるものを使います。ナスはもちろん、ピーマンやいんげんなどでも美味しいです。
チンゲン菜の中華炒めのレシピ
1.チンゲン菜の葉を1枚ずつわける
2.鍋にごま油をひき、チンゲン菜をさっと炒め、オイスターソースを加える
3.水溶き片栗粉でとろみをつけ、最後にごま油で香りづけをする
中華とグラタンってなんだか変ですが、作りたいように作るととこうなることもありますよね……。
木曜日 カレー、セロリのナンプラー炒め
献立
・カレー(玉ねぎ、かぶ、トマト、にんじん、セロリ、トマト、にんにく)
・セロリのナンプラー炒め(セロリ)
残業で少し遅くなってしまいました。明日も朝が早いから晩ごはんは簡単にしよう。月曜日に作って冷凍しておいたポタージュ、あれを使って……作戦を考えながら帰宅です。
ポタージュを使って、ぱぱっとカレー
野菜の旨味がたっぷり溶け込んだカレーが、ポタージュを使えば簡単に作れます。
カレーのレシピ
1.鍋に油を熱しにんにくを炒め、香りが立ったら鹿ひき肉を炒める
2.月曜日のポタージュに、トマト缶、トマト、セロリのみじん切り、スパイスを入れて煮込む
セロリのナンプラー炒めのレシピ
1.5cmぐらいに切ったセロリを炒める
2.しんなりしたら、ナンプラーを加える
金曜日 野菜の気まぐれピザ、サラダ
献立
・野菜の気まぐれピザ(赤玉ねぎ、フェンネル、マッシュルーム、ミニトマト、大国本しめじ)
・サラダ(きゅうり、ミニトマト)
1週間頑張ったから疲れたな、ちょっと特別感のある料理が食べたい。でも簡単にできるものがいいな。そこでスーパーで買ったのがピザ生地。冷蔵庫にある野菜をなんでも載せて、オーブンに入れちゃいます。野菜の味わいを楽しみたいから、ピザソースは使わずチーズだけ。
野菜の気まぐれピザのレシピ
1.好きな野菜を切ってピザ生地にのせる
2.チーズをのせ、オーブンかトースターで焼く
サラダのレシピ
1.きゅうりとミニトマトを切る
2.オリーブオイルと塩をふり、和える
ピザをほおばると、焼いた野菜がとってもジューシー。美味しいなあ。思わずため息。
土曜日 鹿肉のロースト、オレンジビーツのマリネ、マッシュルームとスイスチャードのバターソテー
献立
・鹿肉のロースト
・オレンジビーツのマリネ(オレンジビーツ、フェンネル)
・スイスチャードとマッシュルームのバターソテー(スイスチャード、マッシュルーム)
・ごはん
土曜日の夜は気持ちに余裕があってなんだか贅沢したくなる……。恵比寿の正統派フレンチで食べた、鹿肉のローストの再現に挑戦です。
炊飯器の保温モードを活用
なんとここでも炊飯器が活躍します。
鹿肉のローストのレシピ
1.塊肉の表面を強火でしっかり焼く
2.炊飯器に、密閉袋に入れた塊肉と水を少量入れ、保温モードで1時間置く
3.待っているあいだに白ワイン、チーズ、牛乳を鍋にかけてソースを作る
4.食べやすい厚さに切って盛り付け、3のソースをかける
保温モードを使ってちょうどいい火入れに! お店そっくりというわけにはいきませんが、柔らかくて至福の味でした。付け合わせには、いつものマリネにすっかり好きになったフェンネルをプラス。これが大正解で相性抜群。ついつい食べすぎに……。
オレンジビーツのマリネのレシピ
1.ビーツを薄くスライスし、塩もみをしてからオリーブオイル、酢でマリネする
2.ちぎったフェンネルを合わせる
ほうれん草の仲間、スイスチャードも付け合わせに。ほうれん草よりアクが強いので、しっかり目に火を通します。
スイスチャードとマッシュルームのバターソテーのレシピ
1.スイスチャードは3cmぐらいに、マッシュルームはスライスする
2.鍋にバターをひき、スイスチャードとマッシュルームを炒める
日曜日 玉ねぎのグラタンスープ、肉野菜炒め
献立
・丸ごと玉ねぎのグラタンスープ(玉ねぎ)
・野菜と猪肉のタイ風炒め(玉ねぎ、ピーマン)
・味玉ごはん
あっという間に日曜日の夜。大好きな玉ねぎスープで月曜日に向けて充電しよう。玉ねぎは炊飯器調理で私がいちばんおすすめしたい野菜です。とろとろになって甘味がぐぐぐーっと引き出されるんです。
丸ごと玉ねぎのグラタンスープのレシピ
1.玉ねぎを2つ炊飯器で炊く
2.柔らかくなったら、1つは切って鍋で飴色になるまで炒める
3.器に2を入れ、上にもう1つの玉ねぎをまるごとのせ、チーズをかけてオーブンで焼く
今回はチーズをのせオーブンで焼いてグラタン風にしましたが、炊飯器から出した玉ねぎを切って鍋に移し、水と塩を足して少し煮込むだけでも、美味しいスープが作れます。じんわり、気持ちがほぐれる味です。
猪肉と野菜のタイ風炒めのレシピ
1.ピーマンと玉ねぎを食べやすい大きさに切る
2.鍋に油を熱し、猪肉を炒める
3.肉の色が変わったら1を入れて炒め、レモングラスとナンプラーを加える
使う野菜はなんでもOKです。じゃがいもやトマト、きのこ類などはレモングラスと相性がいいと思います。お肉ももちろん、豚肉、鶏肉などで大丈夫。
あれほどあった野菜が、1週間でほぼなくなりました!
一人暮らしのいいところって、気ままに料理して好きなものを食べられること、ちょっとくらい失敗してもOK! の気持ちで、なんでも挑戦できることだと思います。この調理法だとどうだろう? この味付けは、この組み合わせは? どんどん試してみる。
炊飯器はそんな私の良き相棒。野菜が余って何を作るか迷ってしまったときも、ざくざく切って炊飯器へ。ごはんと一緒に炊きこんでみることもあります。取り合わせで素敵な相乗効果が生まれることもあれば、ちょっと思っていたのと違う……ということもあって面白い。
今日も私は小さなキッチンで、新たな「美味しい!」を探して、野菜を手にしています。
株式会社坂ノ途中
「100年先もつづく、農業を。」をコンセプトに、農薬や化学肥料に頼らず育てられた農産物を販売。約250件の提携農家から野菜を仕入れ、全国へ宅配している。自社農場「やまのあいだファーム」の運営や、アジアのスペシャリティコーヒー「海ノ向こうコーヒー」の販売も行う。
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小さなキッチンのおいしい暮らし Vol.2
出典: goodroom journal
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