「ヤバすぎるくらい産直」をうたうユニークな野菜の直売所が6月、茨城町にオープンした。町内で農業を営む本田武士さん(24)が手掛けた。15万円の資本金を手に20歳で就農し、「直売所の開設は夢だった。採れたてのおいしさを体験してほしい」と意欲的だ。自ら栽培したトウモロコシをブランド化し、通販も手掛け、農業界の若手起業家として精力的に汗を流す。(保坂千裕)
直売所の店先には、近くで経営する本田農園(五ヘクタール)のトウモロコシやヤングコーン、ジャガイモのほか、近隣の農家で栽培された巨大なキャベツやキュウリ、スイカが並ぶ。特に、朝採れのトウモロコシは、五百本が開店から二時間で完売するほどの人気だ。
町内の主婦(56)は早くもリピーターに。「スーパーで買ったトウモロコシより甘かった。直売所で買った方が新鮮で良い」と話し、友人へのプレゼント用に購入していた。
農園では、土作りから工夫し有機肥料栽培に取り組んできたことなどが実を結び、おいしい野菜ができるようになった。昨年には、トウモロコシを「MITORELU(ミトレル)」と名付けてブランド化。「水戸で採れる」と「実採れる」「見とれる」を合わせて造語した。
本田さんは「鮮度が命のトウモロコシは、どれほどおいしくても、次の日からは急激に味が落ちていく。採れたてを食べて、おいしいと感じてほしい」と強調。直売所を始めた大きな理由は、収穫日に即売できることで、客の反応がじかに分かるのも魅力だ。
収穫日に首都圏内に届けられるインターネット販売も始めた。知人のデザイナーに、自分の顔やトウモロコシをイメージしたイラストを作ってもらい、発送用の箱も仕立てた。
若者の農業離れが叫ばれる中、本田さんは「農業で稼げるビジネスモデルを作りたい」と話す。農業が儲(もう)かることを少しでも示すことで、若者の主要な就職先の選択肢に農業が入ることを期待する。
本田さんは水戸市出身で十五歳の時に、親が農業をしている先輩から「三日間だけ手伝いに来て」と誘われ、農業を知り魅入られた。自分も消費者も楽しくなるような農業を考え、夢を膨らませた。
農作業、卸作業、通販、直売所と幅広く手掛ける本田さんの毎日は忙しい。ネット販売の注文があると、朝五時からトウモロコシを収穫し、八時まで出荷作業が続く。企業への営業に出たりすると、帰宅は夜十一時になることもある。
多忙な日々の原動力は「究極の直売」への夢だ。客がスーパーのようにカートを持って畑に入り、ほしい野菜を採って持ち帰ってもらう。「袋入りの野菜ではドラマがない。野菜を自分で採ったという体験を売りたい」と本田さんは語る。若手農家の挑戦は続く。
直売所は不定休。問い合わせは本田農園=電080(5386)2393=へ。
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