マルチの色によって、野菜の生育と収穫量に違いがあるのか。明治大学農場特任教授・小沢 聖さんのご協力のもと、黒、透明、シルバーの3種類のマルチに、マルチなしを含めた4つの区画でキュウリとナスを育ててみました。本稿ではナスの検証結果をお届けします。
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黒マルチの成績は想定内。
生育後半に透明マルチが意外な特性を発揮!
■マルチなしの区画では収穫量が極端に低迷
マルチを張った3区画が順調に収穫量を伸ばしたのに対して、マルチなしの区画は全体的に低調でした。特に6~7月の収穫量が少ないのは、低温期に地温が上がらず、初期生育が遅れたためと考えられます。
ナスの根は深く伸びるので、キュウリよりも土壌水分の影響を受けにくいものの、極端な乾燥は好みません。2019年の夏は極端な高温と乾燥が続き(東京都心部のデータによる)、株の疲労や収穫量の減少が心配されました。
「気温や雨の影響は、10~14日後に反映されると考えてよいでしょう。8月中旬に収穫量が急落し、9月上旬に急増しているのは、猛暑と降雨の影響を受けた典型例です」(小沢さん)
台風の影響で茎葉が傷んだため、9月中旬に掘り上げましたが、マルチなしの細い根の少なさは収穫量に直結していたことがわかります。
■安定の黒マルチと意外だった透明マルチ
極端な暑さが続くと花や実のつきが悪くなるので、梅雨明け後は、地温を下げるためにマルチをはがしたり、株元にワラを敷いたりすることが推奨されますが、今回の実験で、透明マルチに同様の効果が見つかりました。「収穫量が最も多かったのは黒マルチの区画で、これは想定どおり。なぜなら、黒マルチは高温期に地温が上がりにくく、雑草も生えず、安定的な性質があるからです。一方で、注目したいのが透明マルチ。初期だけでなく、後半でも意外と収穫量が多かった。それは、マルチの下に生えた雑草が地温の上昇を妨げたためかもしれません。マルチの裏側についた水滴が光を反射するのも、相乗効果を生みました」(小沢さん)
初期生育のよさが持ち味の透明マルチが、雑草のおかげで意外な効果を発揮したようです。
※より詳しい検証データ、キュウリの実験結果はテキストをご覧ください。
■『NHK趣味の園芸 やさいの時間』2020年4・5月号より
NHK出版
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